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技術用語集
天然ゴム
【天然ゴム】
イソプレンCH2=C(CH3)CH=CH2、 2-メチル-1,3-ブタジエンのcis型-1,4重合体からなる高分子量の組成物で、熱帯に産するゴムノキの樹液から得られます。
合成ゴムが作られて100年ほど経ちましたが、いまだに天然ゴムはきわめて重要な工業原料です。天然ゴムは毎年約1200万トンが生産されており、これは合成ゴムと合わせたゴム全体の45%に相当します(2015年の国際ゴム研究会発表データより)。主な原産国はマレーシア、インドネシア、タイなど。
主要な用途は自動車のタイヤで、およそ70%以上の天然ゴムがタイヤに使われています。物性の特徴は機械的強度が大きいことのほか、耐寒性がよいことなどバランスが取れています。ASTM(アメリカ材料試験協会)による略号ではNR。
天然ゴムは南アメリカ原産のゴムノキから水に分散した樹液の形(ラテックス)として採れるものでcis(シス)型のポリ-1,4-イソプレン構造をしていますが、同じ天然由来のポリイソプレンでもアカテツ科の木からとれるガタパーチャ(グッタペルカ)はtrans(トランス)型のポリ-1,4-イソプレンで、天然ゴムよりも固く弾力が少ないものです。天然ゴムの柔らかさは、シス型であることで分子が折れ曲がった構造を取り、分子間力が小さくなることにもよっています。
石油から得られたイソプレンを重合させることで、天然物ではないポリイソプレンを得ることができます。こうして合成されたシス型のポリ-1,4-イソプレンは、シス構造の割合が低いことなどから長らく天然ゴムほどの強さが出ない、とされてきました。しかしながら近年、ガドリニウム触媒を用いることで、100%シス型のポリマーが得られるようになり、天然ゴムと同等の物性をもつことが示されました。
なお、ゴムという言葉の元になっている英語のgumは、アラビアゴム、グアーガムなどというように、もともと植物からとられた水溶性の粘性のある物質を指していましたが、天然ゴムが広がってからそれらは特に水溶性ゴムと言われるようになりました。
・天然ゴムの簡単な歴史
1493年 コロンブスが新大陸からゴムをヨーロッパに持ち帰る。
1735年 ラ・コンダミーヌがゴムの産業的利用を提唱。
1770年 プリーストリーがゴムで字を消せることを発見。
以後、ラバーRubberという呼び名が定着。
1826年 ファラデーが化学構造式C5H8を決定。
1839年 グッドイヤーが加硫法を発見。
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