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技術用語集
線膨張係数
【線膨張係数】
物体の長さが温度上昇によって膨張する割合を表したものです。
英語ではCoefficient of Thermal Expansion(CTE)またはThermal Expansion Coefficient(TEC)。長さが変化する割合を線膨張係数(線膨張率)、体積が変化する割合を体積膨張率と言います。熱膨張率は物質の結合状態と関係があります。このため、たとえば純金属では融点が高いものほど室温付近の熱膨張率が小さいという傾向があります。
熱が伝わりにくいガラスのような物質を部分的に温めると割れることがあります。熱膨張率が異なる物質を貼りあわせた製品を加熱すると、はがれたり、ひび割れたりします。
これらは熱膨張によって熱応力(ストレス)が起こったからです。これを防ぐには熱伝導を上げて温度差を小さくしたり、熱膨張率の近い材料を使ったりするなどの対策が取られます。36%のニッケルを含む鉄合金は磁気ひずみによる体積変化が通常の熱膨張を打ち消すため、室温付近ではほとんど熱膨張しない材料が作れます。また、βユークリプタイトなど、負の熱膨張率(暖めると縮む)を持つ物質を適当な比率で用いることで、熱膨張がきわめて小さい製品(電子レンジのターンテーブルなど)も作られています。
なお、列車の走行時にガタンゴトンという音がするのは、鉄のレール(長さ25mくらい)が夏場に熱膨張してひずむのを吸収するため、レールのつなぎ目に隙間が空けられているからです。しかし近年では200m近いロングレールの採用や、継ぎ目部分の工夫により、走行時の音は小さくなっています。
| 物質 | 線膨張率 10-6/℃ |
|---|---|
| アルミニウム | 23.1 |
| カリウム | 85 |
| 金 | 14.2 |
| 銀 | 18.9 |
| ケイ素 | 2.6 |
| ダイヤモンド | 1.0 |
| グラファイト | 3.1 |
| タングステン | 4.5 |
| チタン | 6.3 |
| 鉄 | 11.8 |
| 銅 | 16.5 |
| ナトリウム | 70 |
| 鉛 | 28.9 |
| ニッケル | 13.4 |
| 白金 | 8.8 |
| ホウ素 | 4.7 |
| マグネシウム | 24.8 |
| 花崗岩 | 4-10 |
| 一般的なガラス | 8-10 |
| パイレックスガラス | 2.8 |
| 岩塩 | 40.4 |
| コンクリート | 7-14 |
| パラフィン | 130.3 |
| ポリエチレン | 100-200 |
| ポリスチレン | 34-210 |
| ポリメタクリル酸メチル | 80 |
| レンガ | 3-10 |
| 木材(繊維に平行) | 3-6 |
| 木材(繊維に垂直) | 35-60 |
表 20℃付近における線膨張率 理科年表 平成29年版より
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